コラム COLUMN

日本における壁面緑化のはじまり

2025.12.02

日本では、明治・大正時代以降、都市部の発展にしたがい、多数の人が利用できる施設や空間が求められるようになりました。
駅や銀行などの商業施設、工場等では、空間を大きくかつ安全に確保できる観点から、従来の木造建築に代わり、頑丈で防火・防災に強いレンガやコンクリートといった建材が使われるようになりました。また一部ではその景観の向上や遮熱を目的に壁面緑化が取り入れられました。
古くからある歴史的建造物で、壁面緑化が有名なものをいくつかご紹介したいと思います。

阪神甲子園球場

阪神甲子園球場(通称:甲子園球場、完成当時は、甲子園大運動場という総合運動場でした)は、1924年(大正13年)に完成した、日本に現存するもっとも古い野球場です。
この施設は、当時コンクリート打ちっぱなしの殺風景な建物でした。
そのため、景観を改善しようと、その年の12月にツタが建物の周りに植栽されました。
その量は、430株、葉の面積は畳8000畳分ともいわれています。




倉敷アイビースクエア

倉敷アイビースクエアは、現在は、倉敷を代表する美観地区への観光客向けに飲食や宿泊ができる複合文化施設として利用されていますが、もともとは明治22年に建設された倉敷紡績所(現:クラボウ)のレンガ造の本社工場をでした。
建設は明治で、空調目的でツタが植えられたのは昭和初期のころになります。
工場は1960年台に再開発され、その際にツタの印象が深いことから、施設の名前にツタの英名「Ivy:アイビー」を冠して命名されました。






高速道路

高速道路では、遮音壁やコンクリートの壁面を、ツタなどの植物を用いて緑化しています。
景観的には、コンクリートや金属などの硬い印象を和らげるます。
ヒートアイランドや地球温暖化などの環境負荷を軽減する効果があります。
また、壁面緑化には、車の騒音などを和らげる効果もあります。
高速道路の一部では、壁面緑化に使うツタが不足していたため、甲子園球場のナツヅタから種子を採取し、苗を育てて植え付けをしていたこともありました。


現代の壁面緑化では、ツタ(アイビー)はあまり使われない?

現在でも壁面緑化の目的はその当時から変わっていないといえますが、使われている植物は、主に日本の在来種であるツタ(アイビー)と呼ばれるブドウ科の植物が使われています。
強健な植物で、現代の壁面緑化の様な補助資材を使用しなくてもどんどん成長しますが、これらは建物の外壁などに直接根が入り込む為、建物によっては傷む原因になります。
その為、ビル等の商業施設に用いられる現在の壁面緑化では、植栽基盤を用いたタイプが主流です。


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