エビデンス EVIDENCE

3分間のネイチャーブレイクがストレスを下げる

2025.04.29

ネイチャーブレイクとは

ネイチャーブレイクとは、気に入った植物をオフィスや部屋などの身近な場所に置き、疲労を感じた時に数分間、その植物を見ることで、注意をストレスフルな事象からそらして精神的疲労を回復させる休息方法です。


ネイチャーブレイクの研究方法

被験者は電機会社に勤務するオフィスワーカー63名で、午前と午後に1回ずつ、疲労を感じた時と、3分間休息した後に脈拍を計るよう指示されました。
対照期間では植物のない机上を眺め、実験期間では6種の植物から選んだ1つを眺めました。
さらに、被験者は自分で選んだ植物の世話を依頼されました。


ネイチャーブレイクの研究結果

結果として、机上に置いた植物を3分間見るようになってから4週間後には、心理的ストレスを測るSTAI(質問紙)の得点が植物導入前より低下(ストレス減を意味する)しました。
また、脈拍による生理的ストレス測定では、疲労時に机上を見るより、気に入った植物を見る方が脈拍が低下(ストレス減を意味する)した人の割合が増加しました。


STAI(状態・特性不安検査)のグラフ
高ストレスの人の割合が減り、低ストレスの人の割合が増えています。


被験者は自分の机上に植物を置くことで、いつでも植物への視覚的アクセスが可能となり、仕事で高まったストレスをクールダウンさせる新たなストレス対処法を身につけました。植物の選択や世話は、植物に対する愛情を深め、ストレス軽減効果が続くことに貢献しました。

オフィスワーカーの机上に小さな植物を導入するコストは、休職に伴うコストと比べて非常に小さいため、経営者にとって有益です。植物を用いたストレスマネジメントは、うつ予防や健康増進に貢献し、企業の働き方改革に役立ちます。


profile研究者のご紹介

バイオフィリア緑化研究所副所長豊田正博

このエビデンス記事の監修は、兵庫県立大学客員教授豊田正博氏によるものです。
http://researchmap.jp/4187

(主な研究の一例)
・園芸療法を活用した認知症予防
・園芸活動中の前頭前野の脳血流変動をNIRS(近赤外線分光法)を用いて解析
・認知症予防園芸療法プログラム開発
・2010~2013年 科学研究費基盤研究C「園芸療法生理的評価法の開発-臨床現場における患者・支援者のストレス軽減を探る-」
・2015~2020年 科学研究費基盤研究C「脳血流とTDASからみた園芸療法の認知症予防効果

バイオフィリア緑化研究所副所長
豊田正博


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